「じゃないと俺、嫉妬で頭がおかしくなりそう」


そう言って、せつなそうに私を見つめる蒼甫君。


もうっ!


なんなの?


何言ってるの?蒼甫君。


ワケがわからないよ。


掻き回しすぎだよっ。


「優月に彼氏がいたとしても」


「えっ?」


今度は真剣な表情をする蒼甫君。


コロコロ変わる表情に目が離せない。


「それでも俺、優月の近くにいていい?」


それって、どういう意味…?


だって、そもそも無視しはじめたのは蒼甫君じゃない。


なのに、どうして?


「いい?」


甘えたような表情で、私を見つめる蒼甫君。


何週間も私のこと避けていたのに。


怒ってるんだから。


ううん。


怒ってなんてないけど。


ただ、悲しかった。


すごく寂しかった。


遠くて、遠くて。


つらすぎたんだから。


蒼甫君の顔が涙で滲んで見えなくなる。


「…っ。ふぇっ…」


涙が止まらない。