今日は午後から体育があって、男子はソフトボール。


女子はグランドの周りをランニングしていた。


ホームベースの周辺を走るたびに、私の目は自然と蒼甫君と瀬名君を探してしまう。


蒼甫君がバッターボックスに立つ。


茶色の髪が一際目立つ彼は、さすがに遠くから見てもよくわかる。


身体のラインが綺麗なので、そこに立つだけで絵になってしまう。


みんなの憧れの人…。


もうなんだか、ホントに遠い人になってしまったな。


今まで友達だったのが嘘みたい。


私は胸が苦しくなっていた。


走っているから苦しいのか、蒼甫君のことを考えて苦しいのか、一体どっちなのかわからなかった。


その時だった。



「あぶないっ」



誰かの叫び声に振り返ると、私のすぐ目の前に白い球体があって。


鈍い音がゴツンと頭に響いて。


そこからは、意識が遠のいて行った。