「ごめんね、優月ちゃん。泣かすつもりじゃなかったの」


違う。


違うよ。


悪いのは私なの。


二人と話せなくなって。


避けられている理由も聞かずに逃げたの。


渋谷君に逃げたの。


ちゃんと向き合いもしないで。


だって、二人が遠くて…。


話せなくなった途端、住む世界が違うように感じて…。


どうやっても踏み出せないの。


聞くのが怖いの。


どうしていいか、わからないの。


私は声を上げて泣いた。


「優月ちゃん…」


冷たい風が吹き上げる非常階段で、さっちゃんは私の背中をずっとさすってくれていた。