教室に入ると、みんなの視線が一斉に私に向いた。


戸惑いながら、自分の席に着く。


な、なんだろう。


どうしてみんな私を見ているのだろう?


「優月ちゃん」


声をかけてきたのは、さっちゃんだ。


「ちょっと、いい?」


「ん?うん」


さっちゃんは私の手を引き、7組の横にある非常扉を開ける。


そして、非常階段へと連れて行くと、クルッと振り返った。


「優月ちゃん、渋谷君と付き合ってるの?」


「えっ?」


どうして知ってるの?


昨日の今日なのに。


さっちゃんが言うには、今朝私と渋谷君が一緒に学校に来ているのをクラスの女子が教室の窓から見つけて、その場にいた子達を呼んで、みんなで見ていたのだとか。


「大騒ぎだったの」


どうしてそんなに騒ぐ必要があるのかな。


「蒼甫君と瀬名君も見てたよ」


さっちゃんの言葉に、ズキンと胸の奥が割れるような感覚がした。


どうしてだろう。


二人の名前を聞くと胸が痛い。


あれからずっと口を聞いてないし、二人が何を思って私と渋谷君を見ていたのかなんて、さっぱりわからないけれど。


「付き合ってるの?」


さっちゃんが眉間にシワを寄せている。