次の日の朝、私は渋谷君と一緒に登校した。


朝、渋谷君からメールが来て、同じ時間の電車に乗り合わせた。


今朝は天気がすごく良くて空気が澄んでいる。


その分、放射冷却で気温がガクンと低いけれど。


でも、心はあたたかかった。


私達は手を繋いだりはしないけど、肩が触れるか触れないかの距離で歩いた。


「じゃあ、ここで」


私のクラスの教室の前で、 渋谷君がにっこり笑う。


私はちょっぴり寂しくて、教室の中に入れない。


「どうしたの?竹内。入らないの?」


首を傾ける渋谷君。


その表情が可愛くて、余計に動けない。


「次の休憩の時、また会いに来るから、ね?」


「うん…」


そう言うと渋谷君は1組へと歩き始めた。


何度も何度も振り返りながら…。


私はその姿を、見えなくなるまでずっと見ていた。