その日以来、蒼甫君と瀬名君とは話せない日々が続いた。


結局私は、モヤモヤした気持ちを二人にぶつける勇気なんてなくて…。


情けないよね。


こんなに長い間、二人と話せないことがあっただろうか…。


あえて距離を置いていた、あの頃以上だと思う。


ガラッと扉を開けて教室に入ると、窓際の方で蒼甫君と瀬名君と静華ちゃんが話していて。


とても楽しそうに笑っている。


「竹内さん」


「えっ?」


名前を呼ばれて振り返ると、同じクラスの岬さんが私の後ろに立っていた。


以前、私の肩を押して来た女の子だ。


私に、一体何の用なのだろう?


「あそこは竹内さんの場所だったのにね」


そう言って彼女が指差すのは、蒼甫君、瀬名君、静華ちゃんの方向だ。


「静華にとって代わられたね」


胸の奥がギュッと締め付けられる。


「まぁ静華とアンタとじゃ、格が違い過ぎるもんね。

アンタじゃ納得出来ないけど、静華ならしょうがないって感じかな」


そう言い残して、岬さんはどこかへ行ってしまった。