誰もいない1組の教室は真っ暗で、さすがに男の俺でもちょっと不気味で。


俺は一番前の席だから、机の横にかけてあるカバンをさっと取るだけで済むけど。


竹内の方がこっちに来るって言ってたけど、まぁいいや。


俺が迎えに行こう。


7組は1組と棟が違う。


真っ直ぐに繋がってはいるけど、途中小さな渡り廊下と短い階段があるんだ。


俺はその渡り廊下を通り、1組へと向かった。


あれ?電気がついていない。


竹内いないのかな?


もしかして入れ違いになった?


そんな事を考えていた時だった。




「いやーーーっ」



泣き叫ぶような女の子の声が、廊下に響き渡った。


今の声って竹内だよな…?


ゾクッと背中に悪寒が走る。


嫌な予感がして、俺は猛スピードで廊下を駆け抜けた。


慌てて1組の教室の後ろのドアから中へと入ると。


「竹内!」


見知らぬ男子生徒に押さえつけられている竹内の姿が目に飛び込んで来た。


「お前、何やってんだよ!」


俺はそいつを竹内からひっぺがした。


するとそいつは俺の胸を思いっきり突き飛ばし、勢い良く教室を出ていった。


俺は机に思いっきり足を打ち付け、突き飛ばされた胸が激しく痛み、咳をした。