その直後、私はその男子生徒に強く抱きつかれてしまった。


「ちょっ、やっ。離してっ、離してよっ」


必死に突き放そうとするけど、その人は全く動かない。


その男子の手が私の首元へと伸び、リボンをするりと外す。


やだ。


何しようとしてるの?


ま、まさか…!


怖くて身体が硬直していたら、次の瞬間。


バリバリバリっと鈍い音を立てて、ブラウスのボタンが全て弾け飛んでしまった。


「いやーーーっ!」


声を絞り出したせいか、喉が掠れて痛い。


男はまだ私のブラウスに手をかけたままだ。


いや。


こんなの絶対いや。


誰か…。


誰か助けて!


その時だった。


誰かが廊下を走る靴音が聞こえてきた。


思わず音のする方を、すがるように見る。


「竹内っ!」


渋谷君の声だ。


「お前、何やってんだよ!」


勢い良く走る音が近づいて来て、その男子生徒は私から引き離された。


その男子は渋谷君に思いっきりぶつかると、素早く走って逃げて行った。


「待てよ!」


慌てて男子を追う渋谷君。


だけど見失ってしまったようで、渋谷君は私のそばにゆっくりと近づいて来た。