「そう言えば、渋谷も生徒会だよね」


急に渋谷君の名前が出て、ドキッとしてしまう。


「なんか、ちょっと心配だな。アイツ前に優月に付き合ってって言ってたし」


あ、あれか…。


すっかり忘れてた。


だって、ホントの事じゃないから。


「言い寄られたりしてない?」


「えっ?あ、うん。ないよ、そんなの全然」


「そか。それならいいけど」


話しながら歩いていたら、あっという間に教室に着いてしまった。


教室のドアを開けると、教室の真ん中あたりで、男女8人くらいで仲良く話しているのが見えた。


その中心にいるのは静華ちゃん。


静華ちゃんはすっかりみんなに溶け込んで人気者だ。


「あっ、蒼甫ー。おはよー。優月ちゃんもー」


静華ちゃんの大きな声が響く。


みんなが一斉にこっちを見るので、私は恥ずかしくて顔を伏せた。


「ちょっと蒼甫ー。こっち来てー」


「あー?」


けだるそうな返事をして、静華ちゃんのところへ行く蒼甫君。


今日も蒼甫君とは話せそうにないな…。


私は一人で呟いた。