「お疲れー」


渋谷君が私の肩を軽く叩いた。


「渋谷君こそ、お疲れ様」


「外真っ暗だし、駅まで一緒に帰ろうか」


「あ、うん」


私達は一旦教室にカバンを取りに行き、1組の前で待ち合わせた。


校舎の外に出ると、冷たい風がビュービューと音を立てて吹き抜けていた。


校庭には部活帰りの生徒が大勢いて、意外とにぎやかだ。


「しっかし、同じ庶務に竹内と当選するなんて思いもしなかったよ」


「本当だよね。私もビックリ。でも渋谷君と一緒で良かった。知ってる人がいたら心強いもん」


「それは俺だって一緒だよ」


私達はふふっと顔を見合わせて笑った。


「それはそうと最近はどうなの?女子から何も言われてない?」


「うん。三学期に入ってから、何も言われてない」


「へぇ…。なんで急に言われなくなったんだろうね?」


「う…ん。多分、静華ちゃんがいるから…かな?」


「あぁ…。甲斐と神崎って最近よく一緒にいるもんね。
幼なじみだし、まぁ当然か」


何も言われなくなって嬉しいはずなのに、私はチクリと胸が痛むのだった。