「蒼甫君、用事があるの?」


「んー?別にそういうワケじゃないんだけど。
いいんだよ。面倒くさいし。優月と帰る」


蒼甫君は、先日行われた文化祭の『イケメンコンテスト』で、人気のある先輩達を大きく引き離して優勝してしまった。


女の子に人気があるのは当然なのかもしれない。


「蒼甫。またフッたのか?」


事の一部始終を見ていたのか、瀬名君がニヤニヤしながら近づいてきた。


「フってなんかねぇよ。それを言うなら瀬名だろ?」


「はぁー何が?」


「見たぞ。2組の女子につかまってるとこ」


「あれは別に。同じ中学だったヤツだよ」


「真っ赤な顔してたぞ、あの子」


「気のせいだろ?」


相変わらずな二人の会話に、苦笑いをしてしまう。


瀬名君もイケメンコンテストで特別賞をもらっていたっけ。


瀬名君は私とさっちゃんの前では話すけど、他の女の子達の前ではほとんど話さない。


クールな雰囲気のせいか黙っているとちょっと怖いけど、それでもカッコイイから女の子達が放っておかないようだ。