「おはよー」


教室までの廊下を歩いていると、後ろから蒼甫君の声がした。


「蒼甫君、おはよう」


「優月、今日はバイトの日?」


「そうだよ」


「じゃあ、今日も途中まで一緒に帰ろうか」


「うん」と頷いて、教室のドアをガラッと開けたその直後。


パタパタと勢い良く駆け寄って来る女の子が二人。


「ねぇねぇ神崎君。今日の帰りヒマー?」


私を素通りし、二人は蒼甫君を取り囲む。


「悪い。今日用事あるんだよね」


「えーっ、またー?
いつになったら行けるの?」


「ごめん。また今度ね」


「もうっ。この次は絶対だよ!」


女の子達はふてくされて行ってしまった。