名古屋駅から関ヶ原までの電車の中で、立ったまま流れる景色を見ていたわたしは高鳴る胸を押さえるのに必死でした。


――― もうすぐアノ人に逢える・・・。


空を重い空気が覆い、雨が降りだしそうな気配がしましたが、そんなことなどお構い無しだと思いました。


天気などアノ人に逢えることに比べたらどうでもいいことなのです。


関ヶ原駅に着くと、そこはどしゃ降りの雨でした。


「やっぱり、天気はお構いします」


雨は、小雨になりました。


わたしは駅の売店で一番安いビニール傘を買いました。



関ヶ原の古戦場といえば、合戦の始まった地。
皆様御存じの通り、戦国の貴公子と一部で名高い宇喜多秀家公の陣跡、南天満山。


天満神社に続く竹林を、雨を掻き分け歩いて行きました。