何時も明るく希望に満ち溢れた行動の瞬が、初めてみせた弱気な部分だった。



いや普段は、見せない様に気を張っていたんだろう・・・。



そんな様子を一切見せない瞬の強さに義之は、尊敬の念を抱いた。



死の恐怖…
なかなか治らないジレンマ…
闘病の孤独…


それらを抱えながら、俺だったら明るく振る舞えるだろうか?



自分より年下で自分より重い病気の子が、これだけ明るく強く生きている。


それなのに・・・
自分の不甲斐なさに腹が立った。



2回目の検査入院を終え退院の日が来た。



病室を出ようとした時、瞬の母親に止められる。


「義之君、ありがとう。」



そう言えば、建の時も同様にお礼を言われたな・・・。



義之は、色々世話になって、色々教えられた自分こそお礼が言いたいと伝えた。



瞬の母親は、今までの闘病生活を語ってくれた。



それは、壮絶な内容だった。


何度も入退院を繰り返し、満足に学校に行く事も出来ず、副作用と病気との闘いの日々だった。