夢や希望に溢れた話を聞いているうちに、義之もプロ野球選手になるという夢を思い出した。




手術が成功すれば、また野球が出来る!



そうすれば、また夢を追いかけられる。
何かに打ち込めるものが欲しかった。



次第に義之も明るさが出てきた。



暫く忘れていた気持ちだった・・・。



入院も半ばを過ぎたある日の夜だった。



何かの声に義之は起こされる。


よく聞くと、うめき声だった。



まさか幽霊?
今、冬だぞ!出るなら夏だろ!



恐怖で訳の分からないツッコミを入れる義之。



勇気を出して、声のする方向を見る。




声の主は、瞬だった。



薬や治療の副作用で苦しんでいた。



それが暫く続いて、落ち着きを取り戻した瞬からすすり泣く音が聞こえる。



「何時になったら、普通の生活に戻れるんだろう・・・。」



微かな声だったが、はっきりと聞こえた。



それと同時に驚いた。