しかし、最後に響子に会えた…


響子から優しい言葉をもらった義之は、感極まって帰り道を泣いて歩いていた。

いや、さっき振り向け無かったのは、あの時、既に半泣きだったからだ。


今までの響子との思い出が走馬灯の様に駆け巡る。



恋とは、こんな苦しいものなのか…
何故、俺は病気を患った…
せめて、あと1年は一緒にいたかった…



想いが溢れるのと同じぐらい涙が溢れてくる義之。もう、周りの視線など気にしている余裕は無かった。



家に近づいた所で、泣くのを止めた。



親に、何か悟られないように、普通に振舞っていた・・・


車窓から見慣れた風景が、どんどん遠ざかっていく・・・


涙を堪えるのがやっとだった。



生きて、この町に戻ってこよう。



何度も心の中でつぶやいていた。