彼らにとって、義之をイジメる事は、悪い敵を倒す正義のヒーローみたいな感覚のように義之には写った。



小学5年生ぐらいになってくると、異性を意識し始める年頃で、女子の前で格好をつけたい男達。



女子の敵である義之に、イジメを行う事に何の罪悪感も無く、むしろ良い事を行っていると思っているようだ。



しかも、大きくなったとはいえ小学生である。



まだ、加減という事を知らない彼らのイジメは、一歩間違えば大怪我する恐れもあった。



しかし、このイジメを回避する為に、養われた危険察知能力、状況分析能力は、後の義之の人生に大きく役に立つ事になる。



だが、この時の、義之にとっては、大袈裟に言えば、生き残る事で必死なだけであった。



…もう周りには味方がいない…


クラスにもクラス外でも…
女子だろうと男子だろうと……



敵だけだ…



そう悟った。