「シュウよ…急げ…!
時間がないぞ!」
どこからか急に聞こえてきた声に、ひかりはきょろきょろとあたりを見まわしたが、周りには誰もいなかった。
「今の…何?」
「賢者だよ。
……ひかり、今まで本当にどうもありがとう…」
シュウはひかりの体を抱き締めた。
「そんな……あっ!」
シュウの肩越しに、白くぼんやりと光る四角い物が現れ、それを見たひかりは思わず声をあげた。
「一緒にいられなくても、俺はずっとひかりのことを愛してるから……」
「私だってシュウのこと愛してる…!
私…シュウと離れるなんて出来ないよ!」
「俺を困らせないでくれ。
俺は……戻らなくちゃならないんだ!」
シュウはひかりの体を引き離し、きつい眼差しを向けた。
「だったら……だったら、私もシュウと一緒に行く!」
「ば、馬鹿なことを言うな!そんなこと出来るわけないだろ!
ひかりがいなくなったら、ひかりの家族がどれほど心配することか…」
「そうだよね……
だけどね…私、もう止められないの。
自分の気持ちに嘘吐けない。
どんなに自分勝手でも、どんなに間違ってても、私、シュウと離れられないよ!」
「ひ、ひかり!」
ひかりはシュウの手を取り、躊躇う事なく異世界への門へ飛びこんだ。
(さようなら、兄さん、父さん、母さん……
私は、シュウの本来の世界で、シュウと一緒に暮らします。
勝手なことをして本当にごめんなさい。
私はシュウと幸せになります。)
二人が門をくぐるのと同時に、門は空気の中に紛れるようにその姿をかき消した。
ひかりはシュウの世界へ旅立った。
二人はこれからも新しい世界で幸せに暮らすことだろう。
~fin
*****
時間がないぞ!」
どこからか急に聞こえてきた声に、ひかりはきょろきょろとあたりを見まわしたが、周りには誰もいなかった。
「今の…何?」
「賢者だよ。
……ひかり、今まで本当にどうもありがとう…」
シュウはひかりの体を抱き締めた。
「そんな……あっ!」
シュウの肩越しに、白くぼんやりと光る四角い物が現れ、それを見たひかりは思わず声をあげた。
「一緒にいられなくても、俺はずっとひかりのことを愛してるから……」
「私だってシュウのこと愛してる…!
私…シュウと離れるなんて出来ないよ!」
「俺を困らせないでくれ。
俺は……戻らなくちゃならないんだ!」
シュウはひかりの体を引き離し、きつい眼差しを向けた。
「だったら……だったら、私もシュウと一緒に行く!」
「ば、馬鹿なことを言うな!そんなこと出来るわけないだろ!
ひかりがいなくなったら、ひかりの家族がどれほど心配することか…」
「そうだよね……
だけどね…私、もう止められないの。
自分の気持ちに嘘吐けない。
どんなに自分勝手でも、どんなに間違ってても、私、シュウと離れられないよ!」
「ひ、ひかり!」
ひかりはシュウの手を取り、躊躇う事なく異世界への門へ飛びこんだ。
(さようなら、兄さん、父さん、母さん……
私は、シュウの本来の世界で、シュウと一緒に暮らします。
勝手なことをして本当にごめんなさい。
私はシュウと幸せになります。)
二人が門をくぐるのと同時に、門は空気の中に紛れるようにその姿をかき消した。
ひかりはシュウの世界へ旅立った。
二人はこれからも新しい世界で幸せに暮らすことだろう。
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