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「紅(べに)。」
柔らかな、私を呼ぶ声がした。
振り返ると、やっぱり…。
「陽人さん。いらしてたのですね。」
2つ年上で整ったお顔立ちの、背の高い男性。
私、紅が想っているお方。
大正の、浪漫溢れる街並みに私は住んでいる。
今年、18になった。
「ああ。
ん?紅、髪に何かついてる…。」
私の髪に手を伸ばす。
しかし、気づくと私は陽人さんの腕の中にいた。
「は…はると…さん…?//」
「嫌か…?」
「嫌じゃ、ないです……」
そう言い終わらないうちに
私を包む腕の力は強くなった。
陽人さんは私の、
大切な大切な恋人です。