『……帰る』



暗黙の空間に耐え切れなくなって発した言葉は……



“逃げの言葉”。



「は?ちょっ、待てよっ!」


とっさに動いた芳野航に腕を掴まれて、逃げようにも逃げれなくなってしまった。



『……はなして』


「いてっ、やめろよっっ」




「ここは」



芳野航の腕から逃げようとしていると龍牙颯人の声が聞こえた。






「ここは、お前の思っているような場所じゃない」







そんなこと……




『そんなこと、わかってる……』