ミーンッミーンッ―—―

蝉の鳴き声が響く夏。

学校まで続く田んぼに囲まれた細い道を歩く私。

朝だというのに額には汗がにじむ。

そろそろかな・・・。

「春ー!!」

後ろから聞こえる元気のいい声。

誰かなんて予想はすぐにつく。

「おはよう、蒼」

振り返ると、眩しいくらいの笑顔を向ける幼なじみの村松蒼(むらまつあお)が立っていた。

「春、家でるの早いよ!」

息を切らしながら話す蒼。

また寝坊か・・・。

「蒼がいつまでも寝てるのが悪いんでしょー?」

「えーそんなー!」

意地悪く言った私に焦る蒼が少し面白かったりする。

「ほら、行くよ!」

歩き出す私に蒼が必死に追いつく。

「ちょっと待ってよー!!」

ほら・・・あともう少しで学校・・・。