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目が覚めた。見えた天井は、お世辞にも綺麗とは言えない。
あぁそうか。ここはあの、ラブホテル。
佐藤さんだか鈴木さんだか忘れたけど、そんなありふれた人に抱かれた場所だ。
彼に抱かれた場所じゃない。
重い体を起こして、制服に手を伸ばした。彼は決して制服を着て会う事を許さなかったが、他の人はむしろ制服で来て欲しいと望んでいた。
どっちがホントのあたしだろう。いつもと同じ制服で学校帰りにラブホに行くあたしと、着飾って、化粧して、慣れないヒールに足をはめるあたしと。
なんて事をぼんやり考えながら靴下をはき、体を引きずる様にラブホを後にした。