「ハッピーバースデー亜弥っ!!」
みんなの息のあった掛け声と共に、屋上の風景が目に入った。
ビニールシートにお菓子にジュース。
真ん中には、ご丁寧に蝋燭付きのケーキまで。
「え…?」
「ほら、行って行って!!」
驚いているあたしの背中を押しながら、みんなでビニールシートに向かった。
「亜弥、今日誕生日でしょ?」
「まさか忘れてるとでも思ったぁ?盛大にパーティーしよっ」
みんな散り散りに座り、あたしもストンと座る。
「亜弥?」
「…忘れてた。あたし…今日、誕生日か」
静まり返る屋上。
ゆっくり、知恵が口を開いた。
「…まじ?」
「…まじ」
目を合わせる二人。ふいに、どちらからともなく吹き出した。
「あは、あははっ」
「忘れてたって…、亜弥、間抜けすぎだしっ」
二人の笑い声が、次第にみんなに広がる。
「あははっ」
「まじ、俺達のが間抜けだしっ」
「本人忘れてるなんて思わなかったよっ」
笑った。
お腹が捩れる程笑った。
春の風があたし達をくすぐる。
みんなに囲まれて、あたしは18歳になった。