……………
「おはよー」
『…はよ。チェリ、早起きだね』
「でしょ?…って言いたいけど、実は寝てないだけ。」
オールの帰りだと告げると、若者は元気だなぁというあくび混じりの返事が返ってきた。
「なぁに言ってんの。マモルだってそんな変わんないでしょ?」
『二歳違えば別世界だよ』
電話の向こうからは、シャッとカーテンを開ける音が微かに聞こえた。
「そっち、晴れてる?」
『ん?多分』
「多分って。まだ寝惚けてるの?」
笑いながら、『東京は晴天だよ』と言った。
「そう」と、満足そうな声が届く。
マモルとはよく、明け方に電話で話した。なんとなく、オール明けの帰りに話したくなるから。
明け方じゃなくても電話した時は、マモルは東京の天気を聞いてくる。
何度か電話をする内にその事に気付き、あたしは先に告げる様になった。
晴れだと嬉しそうな返事をするマモル。
それがあたしも嬉しくて、できるだけ晴れの日には電話をかける様に心掛けた。