「…大丈夫。あたしが側にいるから」


少しだけ、マモルの腕に力が入った気がした。
あたしには マモルの気持ちが、痛いほどよくわかる。


…あたしも伝えよう。佐倉さんに、ちゃんと。

多分、ボタンを押す指も声も、震えると思う。

それでもあたしは、進まなきゃいけないから。

だから。

「…行こう、マモル」

電話しよう。初めて、佐倉さんに。

例えこの恋が終わっても、大丈夫。
それはいつか、あたしの強さと優しさになるから。

きっと、なるから。

「…うん」

耳許でマモルの頷きが聞こえた。

「ありがとう、チェリ」