…目を開けると、そこにはマモルがいた。
ぼんやりとした思考の中で、あぁ、これは夢なんだと思う。
たまにある。夢の中で目が覚める。なのにこれは夢だとわかるんだ。
じゃあ目が覚める前はどこにいたのだろう。そこが現実?現実から夢に向かったの?
そんな意味のない思考を繰り返していると、マモルがふいに笑った。
おかしいな。あたしまだ、マモルの顔見たことないのに。
なのにマモルが、はっきりと見える。
「…あたし、変な顔してない?」
だって寝起きだもん。夢の中には似つかわしくない言葉。
そんなあたしの髪を優しく撫でて、マモルは微笑んで言った。
「変じゃないよ。…可愛い」
…あたし、どれだけ図々しい夢見てるんだろう。
可愛いなんて、マモルに言わせてる。
少し照れ臭くて、あたしは小さく俯いた。
「…ねぇマモル」
「ん?」
「あたしのこと、どう思ってる?」
あたしの問いに、複雑な表情を見せるマモル。小さな不安が広がる。
「…チェリは?」
「え?」
「チェリは、俺のことどう思ってるの?」
マモルの目は優しくて、悲しい。
「佐倉さんのことは、どう思ってるの?」