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風邪をひいた。あれだけ雨に濡れたのだから当たり前かもしれない。弱った心と体に、あの雨は冷たすぎた。

お姉ちゃんと久しぶりに会ってしまった手前家には帰れずに、あたしはしょぼいビジネスホテルで丸二日眠っていた。

弱ってるからか、夢は幸せなものばかりを見た。

佐倉さんが側にいる夢。
初めて二人でご飯に行った日の夢。
屋上でみんなに誕生日を祝ってもらった日の夢。
知恵とたわいもないことで大笑いする夢。

満天の星空の下、マモルと電話をする夢。

それらがあまりにも幸せすぎたから、目が覚めた時逆に辛かった。

夢の中では大切な人が側にいるのに、現実はただ、1人ホテルで体を丸めてる。

その温度差が激しすぎて、あたしは思わず咳き込む。

喉が痛くて、涙が出そう。