ふいにショートパンツのポッケが揺れた。バイブが鳴っている。

ぼんやりとした頭で立ち止まり、携帯を見る。ディスプレイには知らない番号。誰？

「亜弥～？どしたぁ？」

知恵が立ち止まって振り向く。あたしは首を傾げて、「電話ぁ…？」と呟いた。

「あたしに聞かれても～っ」と笑いながら知恵は歩き出す。あたしも笑いながら、「だよね～」と返した。

と、バイブが止まった。ディスプレイには『不在着信:一件』。誰だろうと思いながらも、はっきりしない頭で考えてもしょうがない。

ま、いっか。あたしは携帯を再びポッケに入れた。

歩き出した瞬間、二回目のバイブが鳴った。今度は本当に驚いて携帯を取り出す。

さっきと同じ番号。

登録し忘れてた友達とかかな…。あたしは軽い気持ちで通話ボタンを押した。

「はい？」