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その日も当たり前の様に、街をぶらぶらして過ごした。

道行く人の手に、傘が目立つ。

天気予報が雨とでも言ったのかな。今のあたしには、正直どうでもいいことだった。

携帯を見ると15:04。今なら家に誰もいないはず。

シャワーと着替えだけを求めて、あたしは家に向かった。



…予想通り。家はものの脱け殻だった。

母親は仕事の時間だし、姉もこの時間だと大学に行ってるはずで。


誰もいない家の方が、孤独を感じない。
二人がいる時の方が、強く孤独を感じてしまう。


足早に部屋へ行き、バッグに適当に服を突っ込んだ。
そろそろ梅雨かもしれない。濡れてもすぐ着替えられる様に、着替えは持っておいて損はないだろう。

…これじゃ本当に家出少女だな。

吐き捨てる様に笑い、今から着る服を掴んでお風呂場へ向かった。


どんなに疲れてても、だるくても、シャワーだけは必ず浴びる。

心のどこかで、洗い流しさえすればリセットできる様な気がしていたから。

でもそんなの綺麗事でしかない。どんなに洗い流しても、現実は何も消えない。

こびりついた、かさぶたも。