すると、

「……っそ」

 彼女はひとことだけそう口にすると、思い出したように着替えの続きを始めた。

 理解してくれたのだろうか?

 背を向けてしまったので彼女の表情がいまどうなっているかはわからない。

 しかしリアクションがないということは“納得した”ということなのか……少なくとも先ほどまでの殺気はなくなっている。

 これで“告白の仕切りなおし”が──

「ねぇ」

「ぅあい!?」

「そろそろ外にいってくれる? いいたいことはわかったし」

「あ、あぁそうだな! 悪い悪い」

 いわれてそれもそうだと気付いた俺は慌てて部屋の外に出た。

 ともかく彼女は「いいたいことはわかった」といったのだ。

 つまりそれは誤解が解けたということ。

 まだ気まずい雰囲気があるのは仕方ないさ。

 かといって今はこれ以上のことを望むべきじゃぁないだろう。

 前にもいただろう?

 そう、欲張るとろくな事がない。

 これ、じぃちゃんの座右の銘。 

 御の字じゃぁないか。

 これであの告白はナシになるんだ。