この場合、タイミングが良かったというべきなのか悪かったというべきなの……いや、そんなこたぁどうでもいいんだ。

 俺は全速力で遠くに離れようとしている意識を首根っこつかんで引き戻す。

 じぃちゃんとゆっくり縁側で茶をすすり“よもぎ団子”でもつまみながらお互いの近況についてもっと語りたかったところだが、そういうわけにもいかない。

 ここで倒れちまったんじゃぁ今以上に関係が悪化するだけだ。

 じぃちゃんは俺との別れ際に無言で親指をおったててたよ。

 ばぁちゃんが友人と温泉旅行にいってたのが残念だったな。

 まぁまたいつか逢えるだろ。


 なんにせよ。


 とにかく、早急に、すばやく、急いでかつ明快に、脳みそのしわをぎゅぎゅぎゅっと寄せてまゆみに伝えなければならない。