「イフリート??なぜ…どして…??」


アシュラフの様子が明らかにおかしい。


美里はそんなアシュラフには気づいておらず、

イフリートと名乗る謎の男に

尋問にも似た質問攻撃を開始していた。


「アシュラフ??どうしたの??」


アシュラフの異変に気付いた葵は

心配そうにアシュラフに近ずき、その肩に手をかけようとした。


その時…


「……っ!!!葵ちゃんっ!!」


瞳を大きく見開いたアシュラフが

葵の手に持っている物を指差す。



「あなたの手にあるの、なにっ!?」


アシュラフの顔は強張っている。


「え?何?アシュラフ。急に大声出したりして」


そう言って笑いながら、アシュラフの指差す方へ視線を移す。


「何?何?私の手にあるも……」



言いかけて青ざめる。




「…それっ!!コラーンでしょっ!!どしてっ!?」



「はぅっ!!」


そう叫ばずにはいられなかった。



どさくさに紛れ、すっかり忘れていたのだ。


見知らぬ男の突然の出現に

美里とアシュラフの奇襲。


隠し損なったコラーンは葵の手の内だ…。



「ひィィィィィィっ!!!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!ごめんなさいィィっ!!!!」


三回謝った。


「あなた…たいへんなこと、しました」


アシュラフの声が震えている。

三回謝ってみた所で、到底許して貰えるような雰囲気ではない…


まぁ、それが当然だ。