「やったっ!!やっと出れたぞっ!!
俺は忌まわしいそのコラーンから
やっと解放されたのだなっ!!」
男は、何故か歓声を上げていた。
そして、
「おい!娘っ!」
そう葵に声をかけると、
葵の両手をギュッと握ってきたのだった。
「ヒエッ!」
ゲームでは男慣れしている葵だったが、
リアルでは非モテ女子まっしぐらなだけに
男に手を握られただけで情けない悲鳴が口をつく。
「お前が俺を解放してくれたのだろう?
礼を言うぞっ!!」
男はキラキラ瞳を輝かせ、握った両手を
ブンブン振り回した。
葵は、全く訳が解らない。
男に激しく上下に揺さぶられながら
やっとの思いで訪ねた。
「あ、あの、すいませんっ!!
あなた、誰ですかっ!?何でうちにいるの!?」
「ん?俺か??俺は……」
「葵ちゃ~ん?夜中に大声だしたりしてどうしたのぉ?」
美里の声だ。
男の自己紹介の最中に美里が被せてきたのだ。
そして、
「パチンっ」
と、音を立て、
リビングの照明が灯された。
室内が明るく照らし出される。