「ちょっとカラオケで遊ぶだけじゃんか?なぁ、いいだろ?」

俺は目を伏せて通りすがろうとした。

だが、一瞬。

たったの一瞬だったのだが、女の子と目があってしまった。

助けてと卑怯者とか入り混じったような複雑な眼差しを俺は気づいてしまった。

俺はそれでも行きたくなかった。

俺の敵う相手じゃない。

だが、俺の小さな勇気はそんな時に限って見過ごすという選択肢を抜き去ってしまった。