「……意味わかんねぇ。しらねぇよそんなこと。翼はなんで本当のこと言わなかったんだよ!」
緒方くんは取り乱すように、声を荒げた。
「……たぶん。不器用だから、言えなかったんじゃないかな…」
そう。
守り方が、ちょっと下手なんだ。
誰かに似てて…。
そう思いながら、私は目の前の緒方くんを見つめる。
暗さに慣れた私の目には、ロウソクの火に照らされてる緒方くんが映った。
「自分が情けねぇ。……あいつは俺をかばって、あとはずっとひとりだったのかよ」
悔しそうに歯を食いしばる姿に、胸が痛む。
「緒方くん……」
「まじムカつく……。かっこわりぃ」
初めて見るこんな緒方くんを、愛おしいと思えた。
隣にいる緒方くんに、そっと手を伸ばす。
消えた線香花火を持っている手に触れると、緒方くんの肩がピクッとゆれた。
私の行動に驚いてるみたい。