「緒方くんが雅先輩のことで必死になって、ケンカとか問題を起こしてて。
そんな緒方くんを見たくなくて、翼くんは雅先輩と付き合った」



私の言葉に、緒方くんは顔をしかめる。


それでも私は、真実を言った。



「これ以上、問題を起こして高校とか行けなくならないように。
嫌われてでも、緒方くんを守りたかったんだと思う。大切な友達だから…」



線香花火を見つめると、もう火は弱々しく震えていて。



瞬間、ポトッと火の玉が地面に落ちる。



「は…?なんだそれ……」




緒方くんのか細い声と同時に、緒方くんの線香花火も火もパッと落ちて消えた。



唯一明かりを灯してくれているのは、ロウソクの火だけとなった。



さっきまで線香花火に照らされていた緒方くんの横顔は、もう暗くて見られない。



それでも顔を上げ、緒方くんを見つめ、素直な気持ちを言った。



「私は、ふたりがまた前みたいに友達になれたらって思ってる」