それって、なんだか寂しいよね。
「そっか……」
線香花火してるときって、普通の花火よりしんみりする。
パチパチとはじけるような音が聞こえてきて、視線を落とすとキレイな線香花火が光っていた。
「今はお前がいるから、いいけど」
そんな言葉とはうらはらに切なそうな声に、私は思わず顔をあげる。
そのとき見えた緒方くんの横顔を、線香花火は優しく照らしていた。
なぜか胸がキュッと締まる。
言いたい。
聞きたい。
私が知ってること全部と、緒方くんの気持ち全部を。
だってきっと、緒方くんだって…。
翼くんと今のままなんて嫌だよね……?
「翼くんね。緒方くんを助けるために、雅先輩と付き合ったんだよ」
「えっ?」
私の言葉に驚いてる緒方くん。
翼くんには言うなって言われたけど……。
でもこのままじゃ、なにも変わらない気がした。