緒方くんと私は線香花火を持って、少し離れたところにあった神社につながる階段の2段目のところに腰を下ろした。
ロウソクに火を付け、そこに線香花火を近づける。
向こうでは皐月ちゃん達が楽しそうに花火をしていた。
そんな様子を見てると、ポツリと緒方くんがつぶやく。
「花火するの懐かしいな。中学以来だ」
まだ火の玉がついたばかりの緒方くんの線香花火。
それに続いて、私の線香花火も小さな光をまとった。
「中学のとき?」
「うん。あいつらと翼とで、花火したんだ。まだ仲が良かった中学の頃…」
顔をあげ、向こうにいる吉田くん達を見ながらそう言った。
緒方くんが今見てる光景の中に、翼くんはいない。