「……っ……うっ……はぁはぁはぁ……」
痛い……痛い……。
目を覚ますと同時によくわからない激痛が頭を駆け巡り、白いベッドで頭を抱えて蹲り白いベッドに沢山の皺を作っていた。
な、ナースコール押さなきゃ……。
ナースコールに手を伸ばそうとするけど、手だけをパタパタ動かしてもナースコールが近くにないことが分かった。
……お母さ……ん。お兄ちゃん……。
――ガラッ。
「……珠美!?」
頭を抱えていると慌てた声と慌ただしい足音が聞こえてきた。
「痛いの?頭?看護師さん呼んだ?」
お母さんがベッドの横まで来ると私にそう呼びかけた。
喋ることができずにただ、頭を横に小さく振るとお母さんは慌ててナースコールを押していた。
「門脇さん、どうしました?」
ナースコールを鳴らすとすぐに看護師さんの声が聞こえてきた。
「娘が娘が!早く来てください!」
お母さんはいつも、ナースコールを押して喋るとき泣きそうな声でいつも慌てている。
また……お母さんに迷惑かけたんだ……。
「すぐに行きます!1207号室の門脇さんの病室行きます。門脇さんの主治医呼んでください」
看護師さんがそう言うとナースコールからは音が聞こえなくなった。
「……珠美……珠美……大丈夫よ。お母さんが付いてるからね。お兄ちゃんも珠美の傍にいるから……」
泣きそうな声で私を励まそうとするお母さん。
「……っ……あさん……お母さ……ん……ごめ……んね」
声を振り絞って出すといつも、言う事を言うといつも通り私の顔にお母さんの涙が落ちる。
また、お母さん泣いてる……。
冷たいな。
――ガラッ!
「門脇さん、大丈夫ですか?」
「珠美ちゃん、先生来てくれたからもう平気よ。お母様は少し離れていてくださいね」
扉が開くと同時に聞き慣れ主治医と看護師さんの声が聞こえてきて、近くに感じていたお母さんの温もりが離れて行った。
「……門脇さん、頭痛いかな?……熱が出てるな。それのせいかもしれないな。体温測ってくれるか?」
お兄ちゃんじゃない大きな手が私の額に触れる。
先生がそういうと看護師さんが私のそばに来てごめんねと優しい声で言って口に一瞬何かを入れる。すぐにピピッという音が聞こえてきた。
「……37.8°です。低体温の珠美ちゃんにとっては、高いです」
「……点滴を替えて、熱を下げる薬を射っておくか。門脇さん、これ副作用ですぐ眠くなるからゆっくり休んで、熱下げようか」
先生の優しい声に小さく頷くと腕に鋭く小さな痛みが走ると同時に薬の副作用のせいか、私の意識は暗闇の中に――。