「ありがとう、ございます。因みに、猫が呪うのは迷信です」


「呪いを信じたわけじゃないし、怖くない。だって俺、ピンピンしてるから」


“猫”の同業者なれば、今まで何人の死に目に合ったことか。


自分よりもこの男は多く殺しているんだなと、直感する。


「呪いかかっても、人数多すぎて、『俺が殺すんだ』とか我先にな奴らばかりで喧嘩してそうですね」


「……、クッ」


笑われた。
皮肉のつもりがジョークに成り変わったらしい。


笑いたきゃ笑えと、“猫”は見ていたが、カルツは口元に触れて平静を保つ。


「害悪どもの愚行を想像したら笑えるけど――お前に言われるまで、“気づかなかったよ”」


「は?」


「俺にも“笑える話”があるんだって」