「正解。だけど、間違い」
「矛盾してますね」
「お前が想定するのと食い違いがあるんだ。この家の持ち主は、俺じゃない」
『お前』の単語から、この男は決して、自分に好意的ではないなと“猫”は思う。
その“猫”の心境も、警戒色の瞳で受け取るカルツだが、別段、気にせずに続けた。
「人身売買で儲けていたここの家主なんだけど、二週間前に俺が殺したんだ」
「怨恨?」
「まさか。仕事」
「同業者ですか」
「だね」
カルツから投げ渡されたマカロフ。咄嗟に手が出ず、ベッドで跳ね落ちた。
武器を返すとは不用心なと思えど、弾が抜き取られていれば、卑劣なに変換される。
撃とうとする意思表示でもすれば、返り討ちにあったか――