「まさか、正しい拷問の手順を見られるとは思いませんでした」
実際には途中退場し、彼に任せたわけだが――
「いやいや、あれも“なっていない”よ。怒りで人をぐちゃぐちゃにしたのは、あれが初めてだった。いつも事務的にやっていたから」
ミナナを半殺しにした相手への復讐。仕事で殺すべき奴を仕留め損ない、報復を受けたミナナの自業自得だからこそ、別段、気にも障っていなかった。
しかしながら、黙っていないのは彼。ミナナが別に終わったことだと、相手の名前を伏せたと言うのに。
――見つけ出してくるんだもんなぁ。
そんな情報網あれば、自身も逃げたさい、すぐに見付かるだろう。
「……、だから逃げられないにしておくか」
「何の話?」
「あなたと一緒にいますよ、な話です」