「――」
やはり、撃たれる。 かと思いきや、打つ行程の最終段階で、カルツは留まっていた。
引き金に添える指先は硬直しているくせにして、体が震えている。
右手で銃を構えながらも、空いた左手は自身の前髪をたくしあげた。
頭痛にでも蝕まれているようだ。
やはり言わなきゃ良かったと“猫”は肩を落とすも、命の危機はカルツが銃を下ろしたところで去った。
「なんで、お前の言葉は……」
泣きそうな声だった。涙など流していないのに器用な声を――
「手を差し伸べたくなる声を出さないで下さいよ。他人と接したくないくせに」
そうやって図星をつかれては、頭を俯かせるカルツ。