「人間味がない、か。まあ、俺を知る奴は、悪魔だの死神だの外道だの言うけど」
「その道のプロですか、あなたは……」
「正しい拷問の手順でも教えようか」
「結構です。後、私が言いたいのは――」
何だろう?と、自身の言葉を繋げなかった“猫”であった。
絵本の中の住人。
人間味がないファンタジーの住人だが、それはこの男が“悪魔”と言うことで成り立つではないか。
無論のことながら、カルツは人間。“悪魔のような人間”だからこそ人間らしさは欠けているわけだが。
「悪魔だとしても、あなたは赤ん坊のような悪魔ですね」
やっと繋げた言葉が思いの外、しっくりきた。
赤ん坊。
「空っぽなんですよ、あなた」