「なんだ、死体か」
血まみれの人が横たわっていた。
雨と交わった血の池から察したことだが、血まみれという時点で、まだ止めどなく血が流出している。
まだまだ枯渇しない赤。死んでないのかとは、横たわる指先がぴくりと動いたことで知った。
死体から、害悪に変更。
いつかは死ぬ害悪(人)だと、カルツは目を背けたが。
「なに?」
足首を、掴まれた。
思わず足を払えば、掴んだ害悪の手は地に打ち付けられる。
余命数分の力など高が知れている。今ので指先一つも動かせなくなった害悪なわけだが。
「……」
夜雨に似合う目を垣間見た。
冷めきった目が、自身を見上げていた。