「食べるとこをじっと見られるのは、気まずいんですよ」
「……。だから、俺も食べろと?」
「殺意を満腹感で紛らして下さい」
無茶を言う、と返しながらも、キャッチしたクリームパンをカルツはかじる。
「……」
「……」
「ほんとだ、気まずい」
「でしょう」
分かってもらえたところで、“猫”も食を進めた。
黙して食べる珍妙な光景(二人)。カルツは、クリームパン一つで腹も満たされたが、空き手にピーナツバターサンドを投げられた。
“猫”はスモークサーモンのサンドイッチを食べている。
「お腹空いてた?」
「存外に」
自分でも驚くほどにパクパク食べていく“猫”。
「……」
「物珍しそうに見るなら、食べて下さい」
気まずいからと言うわりには、食べることに意識を向けているようだった。