――


何てことはない。
戻る気なんかなかったけど、そういえばと気になった。


「お腹減ってない?」


「……」


飽きれ顔の“猫”の定位置となったベッドに紙袋を置く。


「てっきり、もう戻って来ないかと」


「ね。俺もそう思った」


気になったなら仕方がない、とカルツもまた呆れたようにうなじに手を置いた。


「自身の行動に意味付けするなら、お前が餓死しちゃ、ここまで連れてきた苦労が徒労になる。ってなところなのかな」


案外律義だった、と顔を俯かせるカルツ。自然と“猫”と目が合うが、『なんだこいつ』と訝られた。