(三)
日が明けた。
小鳥がピヨピヨ鳴き、身震いする寒さからまだ日が昇って、それほど経っていないと予想する。
「金持ちベッド、恐るべし」
などと、熟睡してしまった身を起こす。
あの男はいないかと、“猫”は部屋を見回した。
誰かが入った形跡もなければ、昨晩、出ていったきりなのだろう。
「……」
――あの人、どこで寝たんだ。
この一室からして、家の全貌見ずとも部屋数は多いのは察する。別の部屋でとも思ったが、あの男に限っては言葉通りに出ていったに違いない。あくまでも、憶測だが。
身震いする寒さ。草木も茶に枯れ初めている。
まさか野宿してないよなと思い――
「なんで、そんなこと」
思うんだかと、羽毛布団にくるまる。