「ここ、どこですか」
「クラストの隣街」
無法地帯で悪さばかりをし、荒稼ぎした輩が多い街。こんな場所を傷だらけで歩く気はない。
外の危険か、中の危機か。遅かれ早かれの文字が頭に浮かび上がるが。
「あなたが、私の前から消えればいいじゃないですか」
賭けにも近い言葉は、時間稼ぎ。なんとかこの男を説得する方法を考える猶予として持ち出した言葉と言うのに――カルツは、銃をしまった。
「……、そっか」
立ち上がり、物思い耽るようカカシとなる。
「そうだ、何で……」
ここにいるんだ―― ?
カルツは“猫”と目を合わす。
「お前には、気付かされてばかりだな」
去り際の言葉。
部屋からいなくなったカルツに、“猫”は首を傾げるしかない。