骨董屋を振り返ると雨も降っていないに店先の紫陽花が露に濡れていた。どうして絵を買ったのだろうそう自問しつつ僕は少女に尋ねた。

「君のお姉さんはどうしてこの絵が必要なんだい?」

僕は少女の後ろ姿に向かって話かけた。

「だってその絵はお姉ちゃんのものだもの」

当然のことのように少女は話した。

「その絵は確かにお姉ちゃんのものなのにあの人がお姉ちゃんを騙して手にいれたの。」

後ろ姿だけでは彼女の表情はわからないがきっと怒っているにちがいない。